CASE STUDY Value aging 自立支援介護事例

Value aging 事例紹介その2自立支援介護で“思い出した”笑顔と意欲

信頼関係を築き、心身の状態を回復

寝たきりや認知症で入居した高齢者が、短期間で自立を取り戻していく――。自立支援介護を実践しているホームでは、そんな姿が数多くみられます。

2015年5月末に、ウェルケアテラス川口元郷(埼玉県川口市)に入居したU様(84)もその1人です。2012年にパーキンソン病を発症したことをきっかけに、病院や施設を転々としているうち、人との交流が減り心を閉ざしがちになっていました。

取材に笑顔で応じるU様。(中央)
この日着ていたはお母様手編みのニット。

「入居時には幻覚・幻聴があり、夜中に『助けて』と叫んだりすることもあり、かなりケアが必要な状態でした」と、U様の介護を担当した介護職の斎藤由香里さん。同じく介護職の足立真吾さんも「不安感や恐怖心が強いご様子でした」と振り返ります。

回復プログラムの実施にあたっては、U様は数年間の苦しい経験から、強い不安感や恐怖心を持っていたことが第一のハードルでした。斎藤さんは「U様のお部屋でお茶を飲み、雑談の時間を増やして、徐々に心を通じ合わせられるようになっていきました」。信頼関係を深めて、安心を感じてもらえるようになるほど、体調も回復していったといいます。

「回復は、本当に少しずつ。でも半年ほど経つ頃には、自分の意見を話したり、自発的に会話をするように。ご入居者の中に仲の良い方もいて、表情も明るくなりました」(足立さん)。

印象的な、明るい笑顔

U様の手には自ら刺繍したクッションも。

入居当時のことについて聞かれると「よく覚えていない」と話すU様。その回復ぶりは、ホームのスタッフも面会に来た人も、皆が驚くほどです。「U様本人も、ずっとどこかに、良くなりたいとの思いがあったのでしょう」と足立さんは微笑みます。

入居後には、長年の趣味だった編み物も再開しました。ふるえが残る手を動かして、新しい作品に挑戦したり、秘蔵のコレクションを見せてくれたり。編み物の話題になると、U様のお話は止まりません。斎藤さんには今度、新しく作る作品をプレゼントする約束もしているのだとか。

「これからは、もっと体を動かす練習も頑張りますよ」と意欲的なU様。今回の取材にもはっきり答え、表情は“明るいおばあちゃん”そのものです。斎藤さんや足立さんは、U様とホームの外へお出掛けする約束も。「食事に行ったり、編み物の材料を一緒に買ったりしたいですね」と、斎藤さんは目を輝かせました。

介護職としてキャリアを重ねてきた斎藤さんも足立さんも、自立支援介護で元気になっていただくことに、手応えと喜びを感じているのだそう。「元気になっていただけるのは、スタッフにとってもうれしいこと。これからも入居者の方との心のつながりを大切に、自立支援介護に取り組みます」と話す斎藤さん。

長寿社会のなかで、自立支援介護はますます期待が高まりそうです。